桜花丸について
生まれ育った葉山の海を生業に
葉山真名瀬漁港に二隻の船をもち
独り船をはしらせ季節ごとの漁を営む。
春はわかめ・ひじき・天草などの海藻、
6月から9月いっぱいまでは裸潜りで栄螺や鮑を。
8月から刺網で解禁になる伊勢海老を獲り、
潮目の良い冬は覗き漁で海鼠や鮑、栄螺を獲り、
通年蛸漁を営む。
桜花丸の名の由来は
葉山の古材建具『桜花園』から頂いたのも。
漁師になったきっかけ
幼い頃は3歳上の兄にくっついて葉山の山や海をかけずりまわっていた。
そう昔でもないが、30年前の葉山は保養所や御用邸が有名で
今ほど新しい建物やお店も少なく田畑が点在していた。
そんな『田舎』くさい葉山は幼い私にとってはどこもかしこも遊び場だった。
兄といたずらをして親に家を追い出されることはよくあり、
今ほど密漁にうるさくない時代だったので
岩牡蠣やエビや貝を採って焚き火で焼いて食べることは日常茶飯事だった。
高校生の頃は学校帰りに制服で泳ぐこともしばしば。
バス通勤だったがびしょ濡れで乗車拒否されることもあった。
高校を卒業後半年間はキャバクラで働きながら
お金が貯まったらヒッチハイクで日本中をまわった。
そしてダイビングショッップ在籍中に縁があり定置網の船に乗せてもらい、
初めて『漁師』の仕事を経験したときのこと。
沖からみる山々と点在する町の灯りと無数の星、
美しい朝焼けに飛び回るカモメの群れがわすれられなかった。
何十種類の魚たち、海亀やアザラシもいて
海の豊かさと迫力に圧倒され網を締めた後、港に戻り
手で魚を選別する作業がとても楽しかった。
その時は女で漁師になれるとは思ってもいなかったので、
なりたいとも思わなかった。が、その後、
水産高校に勤めている際に鎌倉の女漁師「新丸」の存在を知り、
高校を退学し手伝うようになったことがきっかけで
生まれ育った葉山で漁師になりたいと決意。
ここ近年、漁獲が年々減り続け海藻類は生えず、深刻化しています。
葉山の海ではアマモという海藻がそこいらに生え、邪魔者扱いされていましたが、
10年前に絶えてしまい地域の水産試験場の職員と組合で増やす活動をしています。
また、貝類の主食であり魚の産卵場でもある
カジメやアラメといった海藻も危惧されています。
私は全ては高水温の影響だと考えます。
他にもマイクロプラスチックなどの海洋汚染の問題に取り組み
魚離れが進む中、食育や魚食普及に微々たる力ですが力を入れています。
いずれはバイオディーゼルの船で海に出たい。
漁師/船頭
長久保 晶
1985年生まれ
経歴神奈川県立水産高校卒業後
ダイビングショップ非常勤スタッフ
水産試験場母校 水産高校(現 海洋科学高校)実習助手
2012年 師 矢嶋四郎に弟子入り
2013年 独立
2015年 葉山町漁業協同組合監事に就任(~2018年)
2018年 結婚、男子を出産
2019年 葉山漁協直営の直売所をOPEN(週末のみ営業)